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ドキュメンテーション実践事例集

始めたころは問題ばかりだった園がドキュメンテーションを軌道に乗せた方法とは!

ベネッセ日吉保育園

ベネッセ日吉保育園

園長 / 伊賀上 知子先生

園長 / 伊賀上 知子先生

ベネッセ日吉保育園

所在地:神奈川県横浜市

分類:認可保育所

対象年齢:生後57日目~就学前

定員:70人

大学のキャンパス内にある認可の保育園です。キャンパス内の緑に囲まれた環境の中で、子どもたちはのびのびと体を動かして遊んでいます。

3歳児からは縦割りの異年齢保育を取り入れ、子どもたちの個性を大事にした保育を行っています。

また、保育者の個性ややる気も大事にしていて、若手の先生からも「こんなやり方を取り入れてみたい」という意見が出てきたり、研修から持ち帰ったことを積極的に実践してみたりすることも多くあります。

そんなベネッセ日吉保育園。今では毎日ドキュメンテーションを作り、効果的に活用されていますが、始めたころは、どのような状況だったのでしょうか?

園長の伊賀上先生にお話を伺いました!

ドキュメンテーションを始めたきっかけ

開園当初から写真つきの活動記録は掲示していました。

でもこれは「やったことの記録」として作っていたものです。

私が他の園で「ドキュメンテーション」を見る機会があったのですが、

「やったことの記録」にとどまらず、子どもの思いまで伝わってくる点から

「これは、保育にとって本当にいいことだ!」と、一目見ただけでビビッときました。

そんな中で、他の先生も研修から「ドキュメンテーション」というものを聞き、園に持ち帰ってきたので、

それならやってみよう、ということになりました。

その後、公開保育の対象園として、ファシリテーターである大学の先生に直接ポイントを指導してもらう機会に恵まれたこともあり、ドキュメンテーションを園のみんなで学んでいきました。

ドキュメンテーション導入後の変化

ドキュメンテーションを始めて、保護者の反応が変わりました。

「子どもが園で過ごす様子がよくわかるようになった」と、とても喜んでもらえました。

他にも、保育者にも変化がありました。

「子どもが何に夢中になっているのか」、「なぜこの行動をしたのか?」などを意識しながら保育をするようになって、保育者の子どもを見る目が変わってきたと思います。

ドキュメンテーションを始めて困ったこと

でも、実はドキュメンテーションを始めたときには、いくつか困ったことがあったんです。

一つ目に、写真の管理の負担がありました。

最初は、保護者からの反応を気にして、毎日の掲示に全員がどこかに写るように撮っていたので

1日の枚数も多くて、大変でした。

そんなとき、

「どうしてこんなに写真の枚数が多いのか?目的は活動の記録で、個人アルバムではない」と、

公開保育のファシリテーターの先生の巡回時に指摘されました。

みんなで話し合い、毎日全員が写るように撮るのはやめようということになりました。

それでも保護者の反応は気になりましたが、

保護者に向けて「ドキュメンテーションは、活動報告と共に

子どもが輝いている姿や保育者の思いをお伝えするため掲示です」

というお手紙を園内に掲示し、説明していきました。

結果、心配したような保護者からの不満の声は出ませんでした。

それでも、3日~1週間くらいの間で、全く写らない子が出ないよう配慮をしています。

二つ目は、個人別のドキュメンテーションに負担感を持つ保育者がいたことです。

他園で個人別のドキュメンテーションを見て、取り入れたいと思い、

月に1回、0歳児クラスでやってみよう、という話になりました。

0歳児クラスなら、1人の保育者が、1か月で園児3人分を作ればいいので、できそうだと思っていましたが、

担任から、「負担だ」という声が上がりました。

そこで、個人別のドキュメンテーションは

12か月分まとめて年度終わりに保護者へプレゼントするほか、

縮小コピーしたものを児童票の月の記録として活用することにし、

別に書類を書かなくて済むようにしました。

個人別のドキュメンテーション制作に懐疑的であった保育者も

「保護者が喜んでくれて、信頼関係が深まった」

「何がこの子のポイントだったのかを考えるなど、保育の視点が深まった」

など、手ごたえを実感できるようになったことで、

保育者全員がモチベーションを感じながらやるようになってくれたと思います。

今は毎日どのように作っているか

今では、全クラス、毎日ドキュメンテーションを作っています。

当番制で、その日の担当の先生が書いています。

・午前中の活動を撮影

・午睡中に15分で作成

・14時頃には掲示

毎日のことなので時間はかけられません。最初は少し時間もかかっていましたが、作るうちに慣れてきて、短時間でも作れるようになってきました。

制作風景

カメラは各クラスに1台と、園全体用に1台用意してあります。

外に出るときには首からかけてポケットに・・・というのが、定番のスタイルです。

室内では、いつでも撮影できるように、保育者の手が届く棚に、カメラを置いています。

ドキュメンテーションを作るときには、タイトルは意識をします。

ただの「やったこと」の報告ではないタイトルにしたいと考えています。

例えば、一年生が園に来てくれた日のタイトルは

「すごく優しかった一年生」にしました。

「一年生が遊びに来てくれたよ」のように、

「やったこと」の報告ではなく、

そこから子どもたちが何を感じたかがわかるタイトルにしています。

事前に予想したこととは違う、思いがけない姿があるので、タイトルを考えるのは大変です。

でも、「子どもが今日どんなことを感じ、

どんなことに興味をもっていたかを保護者に伝えたい!」

という思いがあるから、

楽しく、そこまで負担を感じずにやれているんだと思います。

ドキュメンテーションの活用方法

掲示やファイリングで、保護者や子どもにみてもらえるようにしています。

また、園内研修でも活用をしています。

毎日、園内に掲示しています。

迎えにきた保護者が、「今日はどんなことをしたのかな?」と確認したり、

子どもとも今日の出来事について話す姿も見られます。

また、廊下に貼ってあるので他のクラスの掲示を見て、子どもたち同士で話をする姿もありますよ!

廊下に掲示するのはその日のドキュメンテーションだけ。

新しいものを作ったら、それまで貼っていたものはファイルに入れます。

そのファイルは保育室の入口に置いてあるので、

子どもたちも自分で自由に開いて、「こんなことがあったね」と振り返っていますよ。

園内研修の資料としても使いました。

年度の初め頃の園内研修では、

ドキュメンテーションを見ながら

「こんなことを考えていたのではないか」

「こんな見方もできるね」と、

子どもの気持ちを読み取る練習として活用しました。

最近では、

普段は当番制で1人で作るところ、

あえて「みんなで作ってみる」ということ研修でやりました。

話し合いながら1つのドキュメンテーションを作ることで、

保育者同士のコミュニケーションがぐっと深まったことを実感できました。

まとめ

ドキュメンテーションの問題を乗り越えた秘訣とは

いかがでしたか?始めたころは色々と問題も多かったというベネッセ日吉保育園。

問題が出てきたときには、そのたびに園の先生みんなで話し合ったり、相談し合うことで乗り越えてきたと、秘訣を語ってくれました。

他にも、専門家の先生からアドバイスをもらったり、研修で学んだり、

他園の見学の時に成功事例を見たり聞いたりして参考にしたことも、

ドキュメンテーションを効果的に活用できているポイントだとおっしゃっていました。

これからドキュメンテーションを始める園や、始めてみたけれど課題を感じていらっしゃる園のかたも、

専門家の先生からのアドバイスや、すでにドキュメンテーションを実施している園と情報交換をすることで

よりスムーズに導入・定着が進み、効果を実感しやすくなりそうですね。

ドキュメンテーション実践事例集