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コドモンの保育ドキュメンテーション活用実践事例集

園と家庭を「つなぐ」対話促進型のドキュメンテーション

とりやまこども園

とりやまこども園

3,4,5歳児クラス担当/福島先生

3,4,5歳児クラス担当/福島先生

とりやまこども園

所在地:群馬県太田市

分類:認定こども園

対象年齢:0歳児~就学前

定員:240人

広い園庭、木のぬくもりを感じる保育室で、子供たちは夢中になって遊び、日々様々な経験を積み重ねています。3歳児クラスからは縦割り保育も行っています。

手作りしていた掲示物をICTに変えることで作業時間を削減するために、2020年の春から「保育ドキュメンテーション」をスタート。まずは、0歳児クラスから活用を始め、徐々に他のクラスでも活用するようになり、今まで以上に一人ひとりの子どもの想いや姿が見えると、「保育者の子どもを見る目が育っていること」を実感してくださっていました。


今回は、ドキュメンテーションの運用を始めて1年後―。

1年の試行錯誤期を経て、とりやまこども園さんの新しい気づきや、園児さん・保護者との関係の変化について、福島先生に教えていただきました。

1.ドキュメンテーションを3・4・5歳児クラスで作成するポイントは○○!

昨年度は、「乳児クラス」を担当していたので、ドキュメンテーションは「できるようになったこと」「成長を捉えること」など、一人ひとりの成長にフォーカスを当て記録してきました。

今年度は、3,4,5歳児の異年齢クラスの担当。この年齢になると、友達同士で好きなことを楽しむことが多くなり、あそぶ場所もあそびの発展・展開も目まぐるしく、子どもの姿を追うのがすごく大変になりました。写真に残そうとしても、「あ!この瞬間!」という一瞬を捉えることが難しいことも…。そこで今年は、あえて「大まか」に作成することにしています。「大まか」とはいっても、もちろん適当に書いているわけではなく、以下のポイントを心がけています。

①「熱中」「疑問」「発見」など、子どもたちの“あ!この瞬間!”を見逃さないように観察!

②写真は「活動の全体像」や「子どもが興味をもった対象物」のみでもOK

③写真に印象的なエピソードを添えて記録

このポイントをおさえていれば、詳細まで書かずに「大まか」に書いても、かえって保護者と子どもの「〇〇はどんな風にやったの?」などの会話を生み出すことにもつながっていると感じます。特に、今はコロナ禍で保護者の方と話せる機会・園での子どもの様子を伝える機会が激減してしまったので、ドキュメンテーションを通じて、「保護者と子どもの会話が増えていけばいいな」と考え、園での様子を連絡帳としても配信しています。

2.コロナ禍での保護者コミュニケーションのツールへ
2-1.「これは見せてあげたい!」を共有

 ドキュメンテーションも毎日、連絡帳として配信しているわけではありません。週に1,2回、「これは保護者の方に知らせたい!」という子どもの姿や発言があった時に配信していて、それ以外は「非公開」で内部記録として保存しています。

例えばこの日は、風が強い日で帽子が脱げたり、ハンカチを風になびかたりして楽しんでいたので、急遽予定を変更し、みんなで「風を捕まえる」ことに。「どうやって風を捕まえようか?」と話し合い、ビニール袋とすずらんテープで風の捕獲器を作成しました。「捕まえた風の匂いは?! 色は?!」と捕まえるごとに確認する子どもたちの様子が印象的で、この年齢でしか出てこない発言を保護者にも届けたいと考え、連絡帳で公開しました。

保護者からは「持ち帰った捕獲器を見て、何もってきたのかと思ったけど、記録を読んで合点がいきました。一生懸命、家でも風の匂いや味の話してくれました、笑」という声もあり、ささいな写真とコメントでしたが、家庭での会話のきっかけにもなっているのかなと感じています。

2.コロナ禍での保護者コミュニケーションのツールへ
2-2.園でのブームを共有

最近の恒例行事「迷路の時間」。お昼寝前にみんなで「迷路の歌(保育者自作)」を歌いながら迷路を解くというイベントが大ブーム。先生が迷路の本をもってくると「迷路、迷路、迷路、迷路~♪」と大合唱。

この迷路の歌を家でも口ずさむ子がいて、保護者の方から「最近、家で迷路の歌を歌っているんだけど、先生これなぁに?」と聞かれることもあったので、ドキュメンテーションでその様子を伝えることに。言葉では伝わりにくかった、そのときの状況がよりリアルに伝わるのでは?と期待して配信しました(まだ配信したばかりなので結果はお楽しみです)。

        

2.コロナ禍での保護者コミュニケーションのツールへ
2-3.「聞いてみてください!」「教えてあげてください!」で園の活動をご家庭で拡張!

園での活動だけで終わるのではもったいないので、子どもたちの気づきが家庭内でも広がっていくような声がけも意識しています。例えば…

・飴作りをした日は、「みんなは、どんなところで何を作ってきたのかな?!ぜひ、聞いてみてくださいね!」

・玉ねぎを収穫した日は、「お土産に持ち帰るので何にして食べようか、ぜひお子さんと話してみてください!!」

・お祭りについて話し合いをした日は、「お家の方が知っているお祭りをぜひ、教えてあげてください!」

「乳児クラス」では成長や興味をできるだけ丁寧に伝えようとドキュメンテーションを作成していましたが、「以上児クラス」になってからは子どもたちが自分で話すことができるからこそ、活動の概要が伝わるようなドキュメンテーションを作成し、後は子ども自身やそれを見る保護者の対話で、話が広がっていくことを期待しています。

「見てください!」の親子コミュニケーションを促すドキュメンテーション       

※上記の画像をクリックするとドキュメンテーションを拡大してご覧いただけます。


園と家庭のつながりを意識したドキュメンテーションを作成することで、コロナ禍のコミュニケーションが取りにくい中でも、子ども自身から「お母さんと見たよ!」「家でこんな話をしたよ」という話を聞くことも多く、子どもを通じて保護者コミュニケーションができていることを実感しています。

3.「今週の振り返り機能」で子どもの興味関心を次の保育に生かす

毎日、様々なあそびが展開されている保育の中で、便利に活用しているのが「保育ドキュメンテーション」の「今週の振り返り機能」。今週あったたくさんの活動がまとめて表示されるので、別のページなど複数ページを確認する手間がなく。「あそびが日を超えてどう繋がっているのか」「今週どんな子どもの姿があったか」を簡単に振り返ることができるのが助かっています。また、今週の子どもの姿を見ながら反省点や気づきを、来週のねらいとして次の保育にすぐ生かせることも魅力だと感じています。

また、記録一覧が出てくることで、記録しきれなかった活動も思い起こされて、「もっとドキュメンテーションを作成すればよかった」「こんな活動も共有したかった…!」と自分の反省や次へのやる気にも繋がっています。

編集後記

園と家庭を「つなぐ」対話促進型のドキュメンテーション!

園での活動や子どもの成長、興味関心をドキュメンテーションとして配信し、ご家庭での会話を促進しているという、とても素敵な事例をお伺いしました。中でも特に、先生がおっしゃっていた、「達成感があるものは伝わりやすいけど、何気ない、楽しいと感じている時間を、一番楽しんでいたところはどこだろう、と探してドキュメンテーションに記録しています」という言葉がとても印象的でした。コロナ禍であそぶ場所も環境も制限される子どもたちの日常的な姿を、丁寧に保護者にも伝えていくことで、子どもを取り巻く環境を少しでもよくしていきたいという先生の気持ちがとても温かい言葉だなと感じました。

CoDMONの「保育ドキュメンテーション」を導入いただき、「子どもを見る視点」の効果実感で取材させていただいてから1年。今年度はさらに「保護者との対話」にフォーカスしたお話を伺えました。今後、さらにドキュメンテーションを活用し、先生たちがどのように保育を実践されるのか、ぜひまた聞いてみたいと思いました!

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